個別原価計算と総合原価計算の関係

2024年8月4日

印刷業の原価計算を正確に算出すると正確な月次決算が実現します。
印刷会社に勤務していた時、社長から「実際利益で報償制度をやりたいので次月の5日までに正確な月次決算を出してほしい」と言われ、3年がかりで実現した経緯を披露します。

個別原価計算と総合原価計算の関係
 個別原価計算とは受注品毎に発生原価を集計し、着手から完成までの期間は問いません。総合原価計算は単一製品例えば自動車や家電などのように連続して作り続ける製品の場合は1月毎に期間を区切って原価を集計し、期間損益を算出する方式です。印刷業の場合は、毎日異なった受注品が生産ラインを流れ、同じ製品が繰り返し生産されることがほとんどありません。従って、印刷業の原価計算は個別原価計算が基本になります。しかし、各工程はその作業内容においては同じ作業の繰り返しであるため、各工程別には総合原価計算も実行する必要があります。個別原価計算と総合原価計算を併用することによりいままできずかなかった問題点や改良点が発見されます。印刷業の個別原価計算は受注品ごとに受注番号を取り、その番号で作業指示や発注、仕入れを行い、原価を集計して粗利益を算出します。算出された粗利益を月間、年間で累計し、月次決算・年次決算と比較して同額に近くなるまで各工程の時間単価を修正してゆきます。平行して総合原価計算も実施し、各工程の月間・年間の実績を集計して適正原価の追求をします。