一般管理費と販売費

2024年6月23日

印刷業の原価計算を正確に算出すると正確な月次決算が実現します。
印刷会社に勤務していた時、社長から「実際利益で報償制度をやりたいので次月の5日までに正確な月次決算を出してほしい」と言われ、3年がかりで実現した経緯を披露します。

一般管理費と販売費
一般管理費は生産・販売に関係なく発生する経営管理費用で、販売費は受注・売上などのために支出される費用です。この2つを合わせて営業費と言います。いま経営管理上でもっとも注目されている課題に、この営業費の圧縮・削減があります。印刷業では平均的に営業費が売上に対して20~25%位発生しています。これをどれだけ少なくできるかですが、アメリカの先端企業では10%を切り、さらに管理部門のスリム化を進めています。日本の企業でもこの課題に積極的に取り組んでいる企業がたくさんあります。印刷業界もこの課題に真剣に取り組まなければなりません。一般的に営業費は見積書に計上しませんが、印刷受注に際しては営業費を請求できるケースが多く、これまでは2桁台の営業費を請求できたものが最近は10%を超えて営業費を請求できるケースが極端に減ってきています。ビジネスのグローバル化に伴い、印刷の営業スタイルも変化してきています。談合や過剰接待での受注活動は不可能になりつつあり、通信やネットワークによる受発注が現実になってきました。従って営業費の低減は時代の趨勢です。生産現場の効率化と原価低減だけでなく、販売・管理部門の省力化、効率化、ネットワーク化を推進しなければ生き残れないでしょう。逆にこれらの改善を早く着手することで大きなチャンスをつかめるかもしれません『チャンスは貯蓄できない、チャンスは準備する者に訪れる。』J・Fケネディー一般管理費・販売費は総原価の一部に属し、直接費(材料費+労務費+経費)・間接費で構成する製造原価には含まれません。個別原価計算で接待費や交通費などの販売費を原価の一部として加算したいと言う経営者が時々おられますが、原価計算を正確に実行して出てきた数値をもとに見積原価や標準原価を設定するためには一般管理費・販売費は加えるべきではありません。さらに月次決算を算出するために必要な仕掛金額は製造原価までにとどめるべきです。